2009年01月30日

カリテバター研修3日目:Trifouiller

10月30日 研修3日目。

秋空です.JPG今日も早起きして、村に向かいます。空はなんだか秋空。ブルキナでも意外と季節の変化を感じることができます。今は収穫シーズンです。秋、なんですね。もうすぐ朝晩冷え込むようになり、冬(?)をむかえます。






本日の研修は、昨日砕いて乾燥させたカリテナッツを炒り、それを粉引き小屋にもっていって、ペースト状にしてもらいます。

まず、大きななべにナッツを入れ、ぐるぐる、棒でかき回しながらじっくり炒ります。とても甘くて香ばしい香りがあたり一面に広がります。



よく見ると、なべで炒っている人たちから少し離れて、なにやら鉄製の道具を使っているグループがいます。これ、実はこちらでは非常にポピュラーな食べ物であるピーナツを炒るのに使う道具なのだそうです。

まず、ふたを開けて中にナッツを入れます。

中に砕いたナッツを入れて.JPG

中に火をおこした炉(ドラム缶を切ったもの)の上に、先ほどの容器を置き、ぐるぐる回しながら炒ります。こちらのほうが満遍なく炒ることができ、しかも時間が早いそうです。なるほど・・・

炭の上でくるくる.JPG


今日はいつも私を連れて来てくださっている日本人の方が、メイン講師と一緒にもうひとつの村にでかけてしまったのでひとりで残され、1日目や2日目よりもなんだか暇です。作業を観察しながら座っていると、子どもたちが遠慮がちに寄ってきます。

学校に通っている子どもたちがそばを通りかかるときは、先生や親たちに言われているのか、毎回かならずそばに来て、ひとりずつ丁寧に挨拶して去って行きます。今日の子どもたちは学校に行ってない子どものようです。ちょっと呼び寄せて、折り紙を折ってみせてあげたところ、とても喜んでくれました。カメラと羽ばたく鶴。

おりがみ.JPG

最初は2人だったのが、いつのまにか増えてる!

村の子供.JPG

おまけに、私の手の中には、いつのまにかまだ生まれて間もない赤ちゃんが残されました。研修参加者の赤ちゃんです。

置いてかれたべべ.JPG


かわいいです!このあと、数人の赤ちゃんが私の手に入れ代わり立ち代わり託され、おかげでジーンズはおしっこでいつも湿っていました。泣かないんですよね、こっちの赤ちゃん。さすがにおなかがすいたりすると泣くので、そのあたりの女の子に頼んで、お母さんのところに連れて行ってもらいます。

女の子たち、がんばっておしゃれしてます。たとえば、こんな感じ。

つんつんヘア.JPG後姿.JPG



こちらでは子どもによく見られる髪型です。

さて、いよいよすべてが炒り終わり、みんなで製粉小屋に運びます。大きなたらいに移して・・・もちろん、頭にのせて運びます。


これが小屋ですが、前に置いてあるのが女性たちが運んできたたらい。相当重いです。これ、頭にのせて運ぶんですよー 彼女たちの力強さとバランスには脱帽です。

粉引き小屋.JPG

丁度、小屋には研修を受けていない女性のカリテナッツも置いてありました。


従来の方法.JPG


研修した女性たちのほうはこちら。


研修後.JPG



比べると一目瞭然!

研修前後.JPG



写真ではわかりにくいのですが、研修を受けていないほうは、色も悪いし、ごみもたくさん入っています。カリテバターの一番の使い道は、実は食用油。なので、こういう目に見える違いは、女性たちもすぐに気づき、自信を深めたようです。

製粉小屋の中はこんな感じで機械が置いてあり、男性2人が専従で働いています。アフリカではとうもろこしなどの粉をお湯で練って主食とすることが多く、一から女性が手で粉にするのは、とても骨の折れる時間のかかる仕事なのです。そこで、近年、多くの村々でこういった製粉機が導入されるようになってきました。

粉引き小屋の中.JPG




この村は奥地にある割には比較的大きな村で、製粉小屋も2箇所あります。

私が着いたときにはもう始まっていて、こんなペーストが出来上がってきていました。
なんだか、チョコレートみたい。

ペースト状.JPG




製粉小屋に行く途中では、あちらこちらでカリテナッツを目撃しました。
カリテバター作りは日常生活の一部です。

生活の中のカリテ.JPG


こちらは村で販売中のカリテ。ばっちいですね。

村で販売中カリテ.JPG

伝統的な方法ではこのような感じですが、来年6月に実施される予定のカリテの実の収穫研修では、もっとキレイで衛生的な手法を学びます。ちなみに、今回の研修で使用しているカリテナッツは、改善された方法で保存されたものを研修講師が探して買ってきてくれたものを使用しています。

ひとまず製粉小屋にナッツを預けて帰ってきたら、遅めのお昼ご飯。みんなはちりぢりに帰宅しますが、私たちは村長さんの奥さんが作ってくださったごはんを、研修している場で食べます。他の村に行っていた人たちも帰ってきて、一緒に食べます。この日のごはんはIgname(山芋)をトマトソースで煮た「ラグー(仏語でシチュー)」です。おいしいんですよ、これ。

今日のご飯.JPG




ごはんを食べようとすると、運転手さんがいません。どこいっちゃったんだろう、なあんて話していると、手ににわとりを持って帰ってきました。

似てるかな.JPG

はい、お祭りの準備です。なんと、今日は人に頼まれでもしたのか、4羽。わたしはブルキナで、「肉とは生きたまま持ち運びし、保存するものである」と学んだのでした。

にわとり.JPG



PS. いす
私はアフリカのいすが大好きです。特に、村の生活で使われているようなものが素敵です。この村で見かけたいす。2日目から使用され始めました。いい感じに使い込まれていて、よいんです、とっても。今日も見かけて思わず一枚撮ってしまいました。

いす再び.JPG

posted by A DANSE at 18:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月29日

カリテバター研修2日目:Concassage(粉砕)

10月29日 研修2日目
今日は研修2日目。今日は1日目に洗って乾燥させたカリテナッツを砕きます。

その他の方法.JPGこの村の研修では3つの方法が取り入れられました。1つ目は大きな臼と杵を使って複数でつく方法。2つ目は、小さな臼を裏返して台にし、先端が平らになっている短い杵で砕く方法。3つ目は、平らな石の上ですりつぶすようにして砕く方法です。普段、この村では1つ目のように臼と杵で普通に砕いているようですが、講師が今回、別の道具も使えることを提示するために他の2つの方法で砕いていたようです。



これ、とてもリズミカルで心地よいのです。音楽になっています。パリをベースに活躍する有名なセネガルのドラム奏者、ドゥドゥ・ンジャイエ・ローズは「生活のすべてが音楽である」といって、ソースが沸騰する音を聞かせて、「ほら、音楽になっているだろう?」なあんて、白井貴子に言っていましたが、音楽が生活に溶け込んでいます。ちょっと、聞いてみてください。。。



ね?そして、交代も、誰の手も止めずに、リズムを全く狂わせることなく、自然にすっと行われます。



ね?美しいですね。職人みたい。。。
これ、こうやって子どものときから訓練されるんです。




アフリカの小学生は3拍子で行進する(アフリカのリズムの基本はハチロクと呼ばれる8分の6拍子)と言います。身体の中のリズムが、アジア人とは異なっていることを感じます。

で、砕き終わったのがこれ。ここで初めて、油の存在をありありと感じさせる質感になってきました。


できあがり.JPG



これも、また、乾燥させて今日の作業は終わり。


2回目乾燥.JPG

講義は、商業化とトレーサビリティーについてです。容器の工夫やラベルのつけ方、ロットごとの管理や記録などが説明されました。


2日目の事件:さそり出没
今日、ちょっとした事件が起こりました。なあんと、空からさそりが降ってきて、講師のひとりが刺されてしまったのです。彼女は建物の壁際に座っていたのですが、壁の上部に空けてある空気穴(明り取り?)あたりから落ちてきたそうです。すぐに踏みつけられて退治されましたが、痛そう・・・なんでも、黒い小さいさそりは危険だけど、黄色くて大きいのは大丈夫なようです。今回は黄色い大きなものでした。でも、痛そう・・・

さそり.JPG


ブルキナでは、こういうとき、「ピエール・ノワール(黒い石)」というものを使用します。ベニンあたりの修道会が作っているらしいのですが、実態は炭のようです。薄い3cm四方くらいの軽い黒いものなのですが、これをさそりやへびなど、咬まれたり刺されたりしたところに当てます。すると、毒素が石に吸い取られるのだそうです。実際、ブルキナで、ある協力隊隊員がさそりに刺され、JICAが提携している病院から救急車が出されたのですが、もってきたのは「黒い石」で、びっくりしたと聞いたことがあります。使用した石は牛乳につけると、毒が抜けて、また使用できるのだとか。

昔、マダガスカルで働いていた医療系専門家が、あるメーリングリストで「黒い石」を募集したことがありました。曽野綾子さんの小説「時の止まった赤ん坊」で有名な遠藤シスターがお求めだったようです。患者さんが持って帰ってしまって無くしてしまい、困っておられました。シスターの診療所で働いていたインド人シスターが持ってきたそうなのですが、もともとはネパールからやってきたものだと言われていました。丁度、そのとき、ネパールに住んでいた私は、いろいろ調べてみました。わかったことは、ヒマラヤから流れ出るカリガンダキ川(黒ガンダキ)とセトガンダキ川(白ガンダキ)が合流する地点で採取される石で、ヒンドゥー教の聖なる意味を持つ石だということでした。ガンダキの2色のうち、白は精子、黒は経血を指していて、男女を表します。それが交わる地点、つまり男女交合地点=聖なる土地なのです。これも、蛇や毒虫の毒抜きに効くといわれ、やっぱり、使用後は牛乳に浸します。でも、これ、ネパールでは販売はされていません。おまじないのように、おばあちゃんやなんかが、家でひっそり所有していて、必要なときに使うもののようです。いろいろな人に聞いて探してもらい、やっと見つけることができました。

ブルキナファソでは、黒い石を診療所で売っています(確認したことはないですが)。わたしが保健事務所勤務のときにスタッフからもらったものは、説明書付で、ビニール袋に封入されていました。

しかし、この日、周囲の家々に黒い石はなく、皆で思案していると、メイン講師が刺された彼女を向こうに連れてゆきました。しばらくして帰ってきた彼女は、刺された箇所にべったりと、なにやら緑のゼリー状のものをつけています。あ、薬をつけたのかな、と思った私は甘かったです。聞いてみると、ミントの歯磨き粉でした。効くんだそうです。他に案のないわたしには、なあんにも言えませんでした。ブルキナ、まだ奥が深いです。

ちなみに、胃腸の調子が悪いときはコーラを飲むとか、民間療法、他にもいろいろあります。コーラは確かに効くことが多い気がします。先日、TVで見ていたら、フランスでも同様の民間療法があるそうです。ネパールでも同じでした。でも、ミントの歯磨き粉・・・これは、よくない気がしますね。

posted by A DANSE at 03:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月12日

シアバター研修一日目。

10月28日から5日間、Banforaでお世話になっているJICAのプロジェクト「コモエ県における住民参加型持続的森林管理計画」が指定保存林住民管理グループ向けに実施するシアバター品質向上研修に参加させてもらいました。

朝、5時に起きて、6時に出発。8時から始まる研修に間に合うかしら・・・ブルキナタイムだから大丈夫じゃない?なあんて言いながら、出発。もちろん舗装なしだけど主要な街道をガーナ方面に向かってひたすら走ります。今年度の研修は2つの講師ペアによって一度に2つずつの村、合計6つの村で実施されます。来年度は拡大予定みたいです。

でも、なぜか数日前から連絡が取れないメイン講師の女性。彼女が担当していそうな村を選んで、そちらに向かって進みます。2つの村は、そんなに離れていないと思われるのですが、車で移動に1時間くらいかかります。なんせ、車がやっと進めるような道をたどらなければいけないのですから。

8時過ぎ、一つ目の村に到着してみると、そこの村の住民管理グループの秘書やグループ副長などの人びとは「そんな研修知らない」「そんな女性講師は来ていない」と言います。「やっぱり。結構、こんなことがあるんだよねー」なんていいつつ、連絡を取って見ることにしました。最近は、こんな奥の村でも携帯電話が使えます。でも、1軒の土作りの小屋の中の、ほんとに小さなアンテナが設置してある、その周囲50cmくらいだけ。夜はもっと広がるみたいなのなのですけれど。電話、かかりません。そりゃそうです。向こうも奥地の村にいるのですから。

そうこうしているうちに、事前に運び込んだ研修道具がどこにあるのかという話になりました。村の入り口の倉庫にあるらしい、ということがわかり行ってみると、その倉庫の前で既に研修は始まっていました。そこのほうが「かまど」があったりして、研修がやりやすかったらしく場所が変更になっていて、みんな知らなかったということみたいです。

聞くと、研修講師達は、村の様子を知り、その状況にあわせて研修を組み立て、住民と信頼関係を結ぶために、3日も早めに村に入っていたということでした。そのためのお金、出ませんよ、もちろん。JICAプロジェクト側がお願いしたわけでもありません。連絡せずにやっちゃったという問題はあるにせよ、こういう真剣な仕事を見聞きすると、ブルキナファソの大きな可能性を感じるんです、はい。

PIMA.JPG彼女達は現在(研修前)の参加者たちの知識や実践を知るための事前アンケートをしているところでした。木陰に集まって、みんな真剣な表情です。

しばらく見ていたのですが、メイン講師はもうひとつの村にいるということで、そこに行って見ることにしました。ふたたび、獣道のような道を、遊園地の乗り物みたいに激しく揺れながら走ること1時間。その村でも大々的に研修がはじまっていました。

研修は現地の市民団体が実施しているのですが、そのディレクターをしている女性がメイン講師です。彼女、実はすごい人でした。周辺では非常に有名な政治家&市民運動家である一方、3回連続で国のシアバターコンテストで優勝した人だったのです。あまりにも優勝が続いたため、5年間、コンテスト出場停止になったそうです。元々、アメリカ在住で非常に著名な「マダム・カリテ=シアバター夫人」と呼ばれるブルキナベ女性の一番弟子として修行したそうで、二言目には「よいバターを作るには、バターとバター作りが大好きでないと、愛がないとダメなのよ」と語ります。なんだか、素敵な予感がします。

この日の研修内容は、実技が「選別」⇒「洗う」⇒「乾燥」⇒「2回目の選別」で、講義は「正しい方法」「悪い方法」です。

ブルキナではシアバターとは言わず、フランス語を使い、カリテと言いますので、以降はカリテ、カリテバターと言います。余談ですが、西部方面で主に使用されている言葉「ジュラ語」では、カリテバターのことを「Situlu」と言います。カリテの木は「Siyiri」、つまり、カリテのことは「Si」というのです。シアというのは、ここから来ているのかもしれませんね。

カリテの木には緑の5,6cmの実がなります。ねっとりと濃い味です。中にナッツが入っていて、この仁の部分から、カリテバターを取ります。このナッツ、6月ごろの収穫時から保存するのですが、その保存の仕方も、カリテバターの質に大きく関係してきます。今回は、研修講師が高品質なナッツを探して購入してきてくれています。


さて、私達が到着したときには、既に1回目の選別が終わり、洗浄に入っていました。まず、お湯を入れて、ざっと洗います。まっ茶色になった水は数回替えます。
洗っている最中.JPG
洗う.JPG

こんなにきれいになります。
洗浄前
洗う前.JPG

洗浄後
洗った後.JPG

ビニールシートの上で乾燥させます。
乾燥.JPG

講義の様子.JPG乾かしている間に講義を行います。読み書きができない女性が70%以上のブルキナ。村ではその割合はもっと増えます。なので、絵を使って講義を進めます。配布した絵のどこが悪いのか、どうするべきなのかを話合います。






ひととおり終わったところで、お昼になりました。みんな、三々五々、お家に帰ってお昼ごはん。車に戻ってふと荷台を見ると、にわとりさんが2羽、結び付けられています。そうです、ブルキナではもうすぐお祭りシーズン。ただでさえ、村に行く機会があると、ブルキナファソでは地位に関係なく、農産物を買って買って買いまくります。祭り前ともなるとエスカレートし、出張の帰りにはものすごい荷物を積んで帰るはめになります。このにわとりさん。運転手さんのお買い物でした。確かに安い!お買い物上手です。

選別.JPGお昼からは2回目の選別に入りました。みんなでバンフォラ周辺で特産のかごを使って、上手に選別してゆきます。





これが使用不可とされたナッツです。
使用できないナッツ.JPG

こういう作業、ブルキナ女性はお手の物。私もやってみたけれど、みんなのようにうまくはいきません。ブルキナに比べると日本人って確かに経済的発展は享受しているかもしれないけど、人間としての能力は劣っているところも多いなあ、と大きく実感。




この日、帰りにもうひとつ別の場所で実施中の会計研修に寄るため、15時頃、村を後にしました。研修講師たちは、もちろん、ずっと泊り込みです。私達は18時には町に到着したとは言え、なんだか移動だけで疲れて、ぐっすり眠ったのでした。

posted by A DANSE at 03:49| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

実は・・・無事に帰国してます。

そうです。すでに1月も半ばにさしかかり・・・
実は、昨年、12月21日に無事に帰国しています。

3ヶ月間も日本を空けていたので、現在、とってもばたばたしています。しかも、地獄の年度末が始まろうとしています。恐ろしいですね。

ところで、帰国の旅路はとっても順調でした。パリ‐関空間、なんと、ビジネスクラスに変更!!!パリで飛行機に乗り込むとき、搭乗券を機械に通したら、お呼び出しマークが・・・以前、同じ感じで、予定していた飛行機には乗れないからあと5時間待ってくれといわれ、大喧嘩した覚えがあったので、ちょっとどきどき。ところが、満面の笑みで帰ってきたエールフランスのお姉さん。「今日はビジネスクラスですわよ、よかったわねー」と、搭乗券を交換してくれました。ラッキー!特にエールフランスのマイレージカードを持っている単身の人は、何回かごとに、こんな幸運があるみたいです。

11月から、なんだか、とっても忙しくなって、筆不精な私には結局続けれなくなってしまったブログ。少しずつでも思い出しながら、滞在中の主な出来事を書いてゆきたいと思います。。。

posted by A DANSE at 00:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする